とある嵐の日…
1人の男が降りしきる雨の中佇んでいた。
男の名はモンキー。
ディビジョンエージェントである。
彼はこれから、白装束に身を包んだブラックタスク(白タスク)が守る拠点、ディストリクトユニオンアリーナに1人で挑むところであった。
「よーし、行ってやるぜ!」
意気込んで突入するモンキー。
気持ちの上で、彼はもはやランボーになったかのようであった。
「よし、ここに隠れるぞ!!」
ただしあくまで気持ちの上であって、行動は完全なるヘタレである。
彼の戦略はこうである。
「よし!タレット…いや、タレット様を神棚に奉ったぞ!そして、ドローン様…召喚!!さあ…神々よ…敵を殲滅したまえ!!!」
もはや完全なるヘタレであった。
そして男の…いや、タレット神とドローン神対白タスクの死闘の火蓋が、切って落とされたのであった。
1ステージ目。
ここは、過去に累々と築かれてきた同志たち(全部自分だけど)により、攻略法が確立されている。
「まず倒すべきは…テメェらだク◯戦車ぁっ!!」
威勢よくミニタンクを煽るモンキー。
それが気に食わなかったのか、3台のミニタンクが迫って来た。
「……あ、すいません…ちょっと…こっち来ないで…」
コソコソと隠れるヘタレが1人そこにいた。
「おお!!神々よっ!!お助けくださいっ!!」
ヘタレが祈ると、2人の神が攻撃を開始した。
ズダダダダダッ!!
ブーーンッ!!バララララッ!!
その攻撃は苛烈で、ミニタンクは一瞬でヘタレ男のことを忘れ去り、攻撃をそちらに向けた。
「へっはっはっはっはぁぁぁっ!!貴様らなど俺の敵ではないわぁぁっ!!」
自分が撃たれないのをいいことに調子に乗るモンキー。
まさにのび太である。
そこに…
「おい貴様…」
どこからともなく厳かな男の声が聞こえた。
「は、はいっ!?なんでしょうドローン様っ!??」
「何をサボっている。早く我らに供物を捧げよ…」
今度は厳かな女性の声。
「は、はいっ!お任せあれタレット様っ!!」
慌てた様子でモンキーは敵を撃ち始めた。
彼の戦闘における役割はただ一つ。
それは神々に供物を捧げることだけだ。
彼が信仰を込めて敵を撃てば、何故かドローン神とタレット神がパワーアップするのであった。
「くらえっ!くらえっ!あ、こっち見ないで…僕はいいスライムだよ…」
ちまちまと、セコく敵を撃つモンキー。
すると神々の攻撃は強さを増し、あっという間に3台のミニタンクを駆逐した。
「ふふふ…ふははははっ!!あーっはっはっはっぁぁあ!!!ざまぁみやがれク◯戦車がっ!!」
そのあとは残る雑兵たちを蹴散らすだけである。
しばらく敵を片付けていると、どこからともなくヘリのローター音が響いて来た。
「来たな…ここは…こうだっ!!」
おもむろにタレット神を持ち、ゲートをくぐるモンキー。
そして、ちょうどヘリの真下あたりにタレット神を…ぽいっ!
「なんということでしょうっ!!敵は全てタレット様に夢中で俺には気付かないのだぁっ!」
そしてそそくさと後ろに下がるヘタレ。
「待て貴様…ここは働いてもらうぞ」
「は、はひっ!?」
すると何人かの敵がタレット様ドローン様に撃たれながらもこちらに走って来るのが見えた。
ラッシャーだ。
「う、うわああああっ!??来るなぁぁぁっ!!!」
そこにLMGを乱射するモンキー。
1マガジン135発すべてを撃ち切る頃…ようやくラッシャー達を倒すことに成功した。
しかし一息つけたのも束の間。
次は敵のドローンが次々と飛来して来た。
…タレット様に。
まるで親の仇の如くタレット様とドローン様に飛来する敵のドローン。
モンキーは完全に無視されている。
そう、まるで獅子がアリなど眼中に無いかのような、圧倒的無視である。
空気の如き、圧倒的存在感の無さである。
あれ?一応、主人公のはずなんだが…
「…べ、別に…さ、寂しくなんかないっ!!死ねこるぅぅぁぁぁっ!!」
モンキーがヤケクソ気味に供物を捧げると、ドローン様とタレット様が敵のドローンオペレーターを蹴散らした。
そこにさらに、飛来するヘリの音。
ヘリからはついに、あの最強の敵が舞い降りた。
「…来やがったなぁぁぁっ!ク◯タンクがぁぁぁっ!!テメェに何人仲間(俺ね)がやられたことかっ!!!!死ねえええっ!!」
タンクも他の敵と同じく、タレット様ドローン様に惹きつけられている。
そこにLMGを打ち込むモンキー。
ついに、1人のタンクの装甲を貫き、そいつは地に伏した。
「いよっしやぁぁぁっ!もう1人…!!」
しかしモンキーが喜んだ…
次の瞬間!!
パキャッ!
パキャキャッ!!
なんということでしょう!!
タレット様とドローン様が破壊されてしまったではありませんかっ!!
そしてそれを見た瞬間!!!
すすすすす〜っと脱兎の如く逃げるモンキー。
いやお前、主人公だからね…??
ミッション開始地点近くにある、車まで一目散に逃げるっ!!
そこは、なぜかタンク達が追いかけてこない安全地帯なのだ。
たぶん、奴らはアーマーが重くて歩くのがめんどくさいんだろう。
とにかくそこで、
「おおおおっ!神々よぉぉっ!蘇りたまえええっ!!」
一心不乱に祈りを捧げるモンキー。
15秒程すると再び神々の声がモンキーに届いた。
「うむ。よく寝た。」
「さあ、あのデブどもをやろうぞ」
「ははぁぁぁあっ!お願い申し上げます!!」
そろそろと車の影から出てゲート近くにタレット様を設置するモンキー。
そしてドローン様召喚っ!!
「おらおらおらあああっ!!テメェらなんか怖くネェェンだよぉっ!!」
そして自分は何もしてないくせに煽るアホなエージェント。
敵を蹴散らす二柱の神。
そして…
アリーナの入口、第一ステージは静寂に包まれた。
「ふふふふふふははははっ!!楽勝だったな…!」
ほぼ何もしていないくせに勝ち誇る男が1人。
彼はこの先、ろくな大人になれないのかもしれない…
そんなことはともかく、アリーナに入るモンキー。
中には当然、白タスクが待ち構えている。
当然のようにタレット様とドローン様を召喚するモンキー。
二柱の圧倒的な攻撃の前に、中にいた敵達は蹴散らされるばかり…
と思いきや。
「な、なにぃぃぃっ!!?」
敵もさるもの、なんと奴らはサポートステーション、通称緑温泉を設置し、ぬくぬくと回復していくではないかっ!!
「くっ!!な、なんて卑怯なんだっ!!??」
この時敵が思っていたであろうことは、私にだって予想できる。
「テメェが言うなヘタレエージェントがっ!!!」
と白タスク達は思っていたに違いない。
とにかく、緑温泉に苦戦しつつも、順調に敵を倒していく二柱。
敵が1人になった時、モンキーはこそこそと何やら準備し始めた。
ドローン神を引っ込め、なんと毒を射出するケミランチャーを手に持ったのだ。
そしてタレット様を設置し直し…
毒ケミを乱射っ!!
敵が死んだ後も!!
乱射!!乱射!!乱射!!そして自爆っ!!
危うく自分の毒ケミで死にかけながらも、モンキーは毒を撒き散らした。
それは、次に来る敵達への備えであった。
想定通り、タレット様に惹きつけらながら毒霧の中に突っ込む白タスク達。
アホである。
とはいえこの第二ウェーブにはあのにっくきタンクが3人もいる。
毒霧が晴れるころには、タンク達だけが残されていた。
しかしモンキーはそれを直接見てはいない。
何故なら!!
姑息にも入口から出て安全なところに隠れていたからだっ!!
なんという姑息っ!!
しかもあろうことか、奴は安全な入口からタレット様を中に投げ入れっ!!
自分は何もせずにタレット様がタンクを倒すのを待っていたのである!!
なんという外道っ!!
貴様の◯は何色だぁぁぁっ!
そしてついに、敵の気配が消えた。
「ふふふふふふははははっ!!貴様らなど敵ではないわぁっ!!」
いいのかこいつ、こんなんで…?
ちなみに、この時のビルドはこちらです。ご興味あればどうぞ。
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