男がふと目を開けると、どこかでみたような場所にいた。
何か、とても重要な何かが起きたような気がするが、そのことを考えると頭が痛くなるのでやめる。
とにかくその男、モンキーは目の前にあった弾薬箱から弾を補充し、フェンスで囲まれたその場所、アリーナへと入っていった。
その場所には、奇妙な既視感が漂っていた。
なんとなく、どこに敵がいるのかがわかるのだ。
よくわからない確信に突き動かされて、モンキーは目の前の段差を上り、そこにタレット様を設置した。
「確かこの次は…」
何故か身体が最適な動きを選び取り、モンキーは段差から飛び降りた。
すぐに敵の攻撃が始まる。
しかし高所に設置したタレット様は圧倒的力で敵を粉砕していく。
あらかた片付いてきたあと、モンキーはまた謎の確信に突き動かされてタレット様の設置場所を変えた。
「次はあそこからロープで降りてくるはず…!」
するとなんという事でしょう!?
敵がロープでするすると降りてきたではありませんか!?
それを見るとモンキーは、想定通りドローン様も繰り出し、降りてきた敵を集中放火した。
不意を突かれた敵はあっという間にその数を減らしていく。
「ここまではいいんだ…次なんだ…次が…」
モンキーの胸中に膨らむ不穏な空気が、呟きとなって発せられた。
その時彼の脳裏にはっきりと、自分が死んだ時の光景が思い出されていた。
次々に襲ってくる敵、あちこちに置かれる緑温泉、ゾンビ並みに蘇っていく敵兵達…
そして最後に敵に囲まれ…
四方八方から銃火が…
「う、あわぁぁぁぁっ!!!?」
彼は思い出していた。
「そ、そうだ…俺はここで…何回も死んだんだっ!!な、なんで俺はまだ生きてるんだ(ゲームだからですw)!??こ、これが"死に戻り"ってやつなのか(違いますw)!??」
その時、アリーナの二階席から次々に増援が現れた。
記憶通りだ。
とにかくその場で迎撃する。
が…
「ああっ!?緑温泉…あああっ!??メディックがぁっ!??や、やめろ…やめてぇぇぇ…」
そして最後に敵に囲まれ…
四方八方から銃火が…
モンキーは死んだ。
………
……
…
男がふと目を開けると、どこかでみたような場所にいた。
何か、とても重要な何かが起きたような気がするが、そのことを考えると頭が痛くなるのでやめる。
とにかくその男、モンキーは目の前にあった弾薬箱から弾を補充し、フェンスで囲まれたその場所、アリーナに…入らずにため息をついた。
「なるほど、死んだらここに戻るのか...」
一息つきつつ、なんとか記憶を辿る。
「モールを突破したあと...」
モールを突破したモンキーは、次の物置エリアをなんなく突破し...
駐車場エリアは、ドアを開けないという卑怯この上ない手段で突破し...
最後の関門、キッチンを瀕死になりながら突破して...
ここまでたどり着いたのだった。
ここ、アリーナは最終エリアだ。
最初に配置されていた敵はそれほど多くなく、正直楽勝なのでは?とすら思った。
しかし、第3陣で来る増援、これが鬼門となって立ち塞がっている。
第3陣には、緑温泉ことサポートステーションを設置してくる"温泉管理人"が3人、ゾンビ兵製造人ことメディックが3人も出て来るのだ。
他にもうじゃうじゃと敵が現れるので、
倒しても倒してもゾンビの如く敵は生き返るし、削っても削っても温泉で回復するし、ストレス限界突破5000%の修羅場になるのであった。
しかしモンキーもただ死んでいたのではない。
死にまくりながらもなんとか攻略の糸口を掴みつつあった。
まず何よりも先に排除すべきは、メディックである。
こいつをほっておくとゾンビ兵がうじゃうじゃ出て来てしまう。
そしてもちろん、温泉管理人も。
優先ターゲットが多いのが難問なのだ。
そこで重要なのは、どこにタレット様を配置するのか、という点だ。
それはずばり、敵が降りて来る近くである。
当然、近い方が敵を狙えるし、長い時間攻撃し続けられる。
そうして編み出した必勝のタレット様設置場所が...
「ここじゃああああっ!!!」
数えきれない死に戻りで見出したその場所から、タレット様が次々と優先ターゲットを蹴散らしていく。
そこから撃たれた敵たちは、ちょうどアリーナ中央の狙いやすい場所に逃げていく。
そこをドローン様とモンキーは狙い撃つ。
そうして早々とメディックを片付けてしまえば、あとは温泉管理人を抹殺するだけだ。
設置された緑温泉を壊しつつ...
敵を殲滅する。
すると...
ついにこのミッションのボスが現れたのであった。
ボス戦での優先事項は2つ。
"ボスと距離を置く"ことと"ボス以外を瞬殺する"ことだ。
ボスとともに、またしても温泉管理人とメディックが現れる。
こいつらをどうやって瞬殺してボスとのタイマンに持ち込むかが、ボス討伐の成否を分けるのであった。
モンキーはやはり死にまくった経験から導き出した場所に、タレット様を設置した。
「丸見えなんだよクソどもがぁぁぁっ!!」
2階、ボスたちが現れる正面。
そこからタレット様ドローン様とともに一斉射撃でモブ達を抹殺する。
迫って来るボスから離れつつ、モブを狩っていき...
ついにボスとのタイマンが始まった。
ボス戦は大きく2つのステップに分かれる。
"地獄の隠れんぼ"と"地獄の鬼ごっこ"である。
このボス、卑怯なことに(お互い様か…)バックパックを壊さない限りダメージを入れてもあっという間に全快してしまう。
なのでまずは、バックパックを壊す必要があるのだが、これがまたイナバ物置並に硬い!
しかも敵の攻撃は激烈で、正面から撃ち合いなんかした日にはトラックに踏み潰される蟻みたいな結末を迎えてしまう。
また、定期的になぞの範囲型攻撃、通称"超速蚊取り閃光"を繰り出して自分の周囲の相手に大ダメージを与えて来る。
そこで、"地獄の隠れんぼ"となるのだ。
モンキーはドローン様を引っ込めると、おもむろにとあるものを取り出し、放り投げた。
すると、あら不思議!そこにモンキーがもう1人現れたではありませんか!!
そう、デコイである。
それを見たボスは、ケーキを差し出された子供のように夢中でデコイを撃ち始めるのだ!!
まさにアホである。
その隙に、タレット様をわざと目立つところに設置するモンキー。
するとなんということでしょう!
デコイに飽きたボスは、今度はタレット様を必死こいて撃ち始めたではありませんか!!
本物のアホである。
そしてこそこそと距離をとってボスの背後で動く影。
「ぐへへへへ...撃ち放題だぜ...」
卑怯の極みである。
これを、30分以上(マジです)繰り返すのだ。
撃ち続けると、バックパックの中で焼き芋でも焼いてるのかと思うくらい煙が噴き出して来る。
そこから更に弾を500発くらい撃ち込むと(マジです)、ようやくバックパックが壊れた!!
そこからが"地獄の鬼ごっこ"のスタートである。
といってもやることは大して変わらない。
デコイをドローン様に変更し、タレット様を目立つところに設置。
3人で必死こいて頭を撃ち続けるだけだ。
ただし、この段になると敵も流石にこちらを狙って来る。
"超速蚊取り閃光"はもう使ってこないので、うまく障害物に隠れて逃げながら、地道に、本当に地道に削っていくのだ。
20分以上(マジです)...。
隠れて...
削って...
逃げて...
削って...
以下同文×100回ほど...
そしてようやく...
決着の時
先程までの死闘が嘘みたいに、そこには静けさだけが残っていた。
倒れ伏した強敵を見ながら、モンキーは静かに呟くのだった。
「もう二度とやらねぇ...」
おしまい!
この時のビルドはこれです。よければどーぞ。
前編はこちら。